毎年600万円かけていた広告費を、ゼロにする目標を立てたんだけど、思うような結果は得られなかったお話
僕は花屋なので、母の日っていう5月のイベントが一番の売り上げピークを迎えます。
毎年4月から母の日である5月の10日前後まで、約600万円の広告費をかけて、大きく宣伝し、たくさんのお客さんに購入してもらえるように働きかけます。
(堰堤の共有として、母の日は広告費を単月一発回収モデルです)
この母の日のイベントがコケると、大火傷どころではなく、正直、倒産してもおかしくないような状況になるんです。だから、心理的にも大きな広告費をかけ続けるという、良いのか悪いのか、まあでも、あんまり良くないなと思えるギャンブルを毎年しているわけです。
僕がお世話になる塾の塾長に「ゲキさん、広告やめたらいいのに。やめたらその分、全部利益になるじゃないですか〜!わっはっはっはは!」とか言われました。
確かにそうなんですけど、売れなくなったらめちゃ怖いので、広告をかけ続けようとは思っていました。
ただ、気がかりだったのは、前年の広告の費用対効果が落ちてきていたこと。そしてもう一つは、広告を見て商品を見にきているだろうお客さんの数が、減ってきているような実感がありました。
(正確には把握できませんが、こんな感じでざっくりと見ることはできます)
このまま、広告をかけ続けても、ジリ貧になるような予感がしていましたが、心理的には広告費をかけないと不安。そりゃそうです。会社の生き死にが関わっているわけですから。
意を決して、広告費をゼロにすることを目標に、プランを練り始めました。
計算上では、売り上げが30%落ちても前年同様の利益額になるという、そんな計算が成り立ちました。
広告からの流入人数は、概算で全体の27%。いろんな経路から、うちのお店を見にきて、母の日のお花を買ってくれる人たちが、満遍なくご購入いただいているのであれば、広告を辞めても、売り上げ27%減にとどまるので、採算が合います。
ただし、広告を見たお客さんが中心に買っている。早い話が、広告経由の27%のお客さんが購入するお客さんのメインになっていた場合、わずか1ヶ月で僕の会社は潰れるという計算もできるわけです。
信頼する税理士さんにも相談して見たところ
「おー!ついにやるんですね!もし売れ残ったら、一緒に新宿行って手売りしましょう!ヤ○ザと警察が来たら一緒に逃げて、新橋方面で売ればいいですよ!」
と、全く僕がやる気にならないけれど、ちょっと勇気の湧く一言をかけてくれました。
(全くもって、アドバイスになってねー。。。と心の中で言いましたけど)
一世一代の大勝負!
広告をかけるのもギャンブルなら、広告辞めるのもギャンブルという、もうほんと、吐きそうなくらいの緊張の中、母の日が始まりました。
僕の中では綿密な3つのプランを作っていて、ざっくりいうとこんな感じ。
①売り上げを30%落として、利益そのままプラン
②来客人数が減った際は、CPC広告を予算30万まで使うプラン
③早期購入は価格重視、ギリギリ購入は利益重視
とにかく、売り上げ個数と売り上げをしっかりと作らなくてはならないため、かなりの早期からご予約を開始、その時期なんと2月4日スタート。
暦の上では、節分を境に、年が変わると言われているので、ちょっとおしゃれな感じにスタートしたかったので、その日をスタートに決めました。
コツコツと1つずつ丁寧に販売を重ねて、販売個数を伸ばして行く作戦です。結果として、前年並みの量を販売しなくてはならないので。
3月まではそれなりに順調でしたので、さほどシンンパイなく売れていました。でも、4月に入り、予想していた主力商品の個数が伸びず、在庫の少ない商品(そこそこしか売れないであろう商品)の売れ行きが良くなってしまったんです。
まずい。在庫がない。。。。多分死ぬ。。。
売れ行きの良いとある商品。在庫がないのであちこち電話をして、その花を探すのですが、どこも予約でいっぱいで、在庫を補充することができません。
終わった・・・。
「僕の花屋人生は14年で終わったよ。倒産の危機は何度か乗り越えたけど、今回ばかりはどうにもならんわ。あぁ、新宿で手売りするしかないわ・・・。」
と思っていた時、あともう1件だけ電話してみようと思いつき、電話をかけてみると、なんと在庫があるというではありませんか!!
全部!全部ください!全部!
あ、でもA品だけですよ。絶対A品だけ!
なんとか、売れ筋商品の在庫が確保でき、一安心。
次にやって来たピンチが、4月に入ってからの伸びの悪さ。このままで行くと、前年の半分くらいの個数で終わってしまいそうなんです。
プラン②の発動です。
CPC広告をかけてみました。なんとなく売れ行きが変わったような気がしましたが、あまりぱっとしません。予算30万円ですが、お金がもったいないので、10日ほどで早々に引き上げ。このプランはあかんかった。
そしてプラン③
価格の修正を開始しました。これも結構なギャンブルで、価格を上げた瞬間、販売個数が伸び悩んでしまうと、なんの意味も持ちません。
なので、売れ行きの良いものから少しずつ、期間を切って値上げを開始しました。
この方法は、お客さんの中でも納得感があると思い採用した方法。早期の方は安いけど、母の日よりも5日前に商品が発送されるイメージ。直前で買うお客さんは、高いけど、母の日当日近辺にお花がお母さんに届くというイメージです。
売れ行きが良い→値上げ→売れ行きが鈍る→徐々に伸びてくる→値上げする→売れ行きが鈍る
こんなことを繰り返しながら、限られた在庫の中で、利益を最大にできるように調整をしていきました。
もちろん、売れ行きの悪い商品も中にはあるので、価格据え置きもしくは、廃棄覚悟で値上げします。値下げをするのは、先行して買ってくれたお客さんに対して失礼すぎるので、それだけは禁じ手にしました。
そんなこんなの微調整を繰り返しながら、母の日の出荷までを終え、遅れてごめんね母の日も粘って粘って、母の日が終わりました。
収支をざっくりと締めてみると、こんな結果に。
売り上げ→32%減
個数→24%減
利益→前年ちょいプラス
おおお!利益伸びた!
そして、
輸送事故→70%減
お詫び件数→90%減
なに!!!!なにこの副産物!!
個数が減ったことにより、輸送事故が相当数減りました。もちろん、梱包してくれている農家さんや出荷委託先の方が丁寧に頑張ってくれたり、運送会社さんの努力もあってのことですが、これには驚きました。
そして、クレームがほとんどなくなりました。これは意外。
毎年、輸送事故や「この花気に入らないから変えて!(もうほんと困るのこれw)」という電話がなるので、今年はコールセンターを外注して、万全の体制を整えていたのですが、電話がほとんどなら図、数件のご対応で済んだことが、何よりもびっくりしたこと。
ぱっと見は、広告経由で買ったお客さんの質がどうのという、短絡的な結論を結んでしまいがちですが、データがあるわけでもないので結論づけられません。
でも、ここまでいろんな部分で差が出るものかとびっくりしました。
売り上げ減って、利益が増えて、仕事が減って、事故も減って、クレームも減って。
ギャンブル母の日経営を、ギャンブルで切り替えるという、ものすごいギャンブラー(笑)
これを経営と言っていいかどうかわかりませんが、なんとか乗り切り、よく年につなげることができました。
費用対効果が落ちている方法を、いつまでも続けるわけにはいきません。
広告を利用することで、新規のお客さんとの出会いのための投資として考えられれば良いのですが、母の日に関しては、リピート率が非常に低いイベントのため、投資対効果があまり期待できないので、そこからは抜け出したいと思っていました。
12年ほど、ずーっとかけ続けていた広告。
様々な工夫はすれど、一部のお客さんを除き、リピートされるお客さんが少なく、悩みの種ではありました。
何より、広告費をかけることでジリ貧になり、そのお金をお客さんに還元できなくなったり、スタッフに還元できなくなることが、一番よろしくないことで。。。
やっぱり、抜け出すには、小指を詰めるくらいの試練があるものですね。
いやはや、新宿で手売りする状態にはならなかったので、本当に良かったです。
利益計画、一緒に作りましょう!↓
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