考察 立地が良くないのに、なぜか流行っているタイ料理屋さん
僕は、食事をするときに、そのお店がなぜ流行っているのか、なぜ流行らないのかを考えるのが好きです。どっちにしても、後付けの理屈なんだけど、自分のお店に落とし込むにはどうしたら良いかよく考えます。
そんなことしながら食べたら飯がまずくなる!と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、僕はむしろ上手くなるので、いつもこんなことをしています。
まあ、そう考えると、ここでの食事は経費にしてもいいんじゃないかと頭をよぎりますが(笑)
そのうち経費で落としてやろうと思います。
繁華街とは逆方向にひっそりお店を構えるカオマンガイというタイ料理屋さん。
僕はここの味が好きでよく行くんだけど、いっつも混んでて入れない。
地元立川にはタイ料理屋さんがここの他に4店舗くらいあるけど、ここが一番うまいんだよね。
店構えが良いわけではないし、場所も良くないし、何よりそんなに綺麗じゃない。
でも、ランチタイムと夜は満席で、いつも入れない不思議なお店。
台風がやってくるという日に行ってみたら、ラッキーなことに入れたので、ちょっと考察してみました。
内装はタイのお店を意識しているんだけど、タイに比べたらめちゃ綺麗!
店員さんが気さくでいい感じ。いつもニコニコ対応してくれます。
やっぱり、気持ちの良い接客って大事ですよね。
スプーンの入っている入れ物を派手に落っことしてしまって、スプーンと橋が散乱・・・。
でも、ニコニコしながら「大丈夫ですよ〜」って、片付けてくれたりなんかしてくれると、ほんとホッとするというか、いい店だなぁと思います。
僕はカオマンガイを注文したんですけど、その時に一声かけてくれました。
「ほかのお食事はどうされますか?オススメは空芯菜なんですけど」
この一言めちゃ大事ですよね。
「あ、じゃあ、それも!」と思わず言ってしまいます。
マクドナルドの「ご一緒にポテトはいかがですか?」と同じですよね。
値段を見ずに頼んでしまう。怖い一言です。
そして、さらに店員さんが「通常は3辛で作っているんですけど、結構辛いのでどうされます?」と。
もうめちゃ親切じゃないですか!「じゃあ、2辛で!」とか、思わずお願いしちゃいます。
コミュニケーションが大事とか、お客さんの笑顔のためにとかほんと大事なんですけど、こういう戦術的なことってすごく大事だなと、めちゃくちゃ勉強になりました。
もしかしたら、あえて3辛設定をデフォルトにしてるのかもしれません。
で、前菜がわりに空芯菜登場!もちろん美味い!
これ、780円とそれなりの金額です。ラーメン1杯食べれます。
この1食がプラスオンされるのとされないのとでは、客単価にかなりの影響でますよね。
もちろん、味はタイっぽいけど日本人向けにアレンジされていて、出汁が効いてます!
ニンニク強めでビールにも合う味。さらに言うと、お値段それなりなので、豚肉が少し入ってます。ここで満足感と言うか価格相応な感じに見せているんでしょうね。
これを食べ終わる頃に、主食登場!
カオマンガイを注文してました。
このカオマンガイも、ライスがバターライスとガーリックライスから選べるという凝りよう。
タイの現地で食べるものを、さらに丁寧にした感じです。
お皿はタイの屋台で使われている、いわゆるプラスチックのお皿。タイのムードもバッチリ醸し出しています。ただこれ、プラスチックのお皿って、使い方ではとても貧相に見えてしまうんですよね。
神田に「東京カオマンガイ」と言うお店があるんですが、そこ食べログ評価高いんです。3.5超えているんだけど、そこのはちょっと味薄いし貧相なんですよ。現地に近い味です。
ここのは、味や風味が奥深いと言うか、凝ってます。
お米もパラパラしてて、炊いたご飯じゃなくて炒めているのは、多分日本人好み。
タレは現地のそれと似てるけど、奥深い味なのでやっぱりちょっと違う感じ。でも、日本人好み。
いいとこついてくるなぁと思います。本物じゃないけど、本物をより一層洗練させた感じです。
食べながら気になったのが、さりげなく飾られていたカレンダー。
これを見ると、数字とタイ語が書いてあって、どの文字が1でどの文字が2とかわかるんですよね。
狙ってたらまじすごい!タイ語がどんなものなのかとかわかるわけですから、タイに行ったことがある人なら誰もが思う「読めねぇよ。これなんて書いてあるの?」の疑問が少し晴れるわけです。
この工夫は素晴らしい!!
ああ、4の上に丸いのがくっつくと5になるわけね。3は数字を寝かせたみたいだね。なんて会話も弾んでしまいます。プチ教養みたいなのって、楽しいじゃないですか?自分が賢くなったみたいで。
さらに、このお店、ほんとすげーわと思ったのが椅子!!
背もたれなし!タイ屋台風!!
この椅子、長時間座ってられないんですよ。だから、人の回転が速くなるんですよね。
タイ屋台風を名乗っているので、ブランディング的にも妥当だから嫌がられないですよね。
もしも、カフェでこれをやると非難轟々だと思うんですよ。
このお店、もちろんビールはビアチャンもレオもちゃんと置いてあるし、雰囲気づくりも上手だし、接客も良いし、味はもちろん工夫されてて美味い。
さらに、タイ好きな人もそうでない人も、タイに文化に触れられるような工夫がされてます。
でも、メニューはちゃんと写真付きなんですよ。知らない人が「パッタイ」って聞いてもわかんないですもんね。その辺、僕ら花業界だと「5号鉢」と書いても誰もイメージがわかないのと同じで、そこをちゃんと15センチの鉢で、「大きさはこれくらい」みたいな画像を見せているのと同じだなと思いました。
結構分厚いアルバムに、料理すべてが写真付きで書いてある。
女子ウケ必須なのはハーフサイズがあること。
細部のこだわりも素晴らしく、スプーンは屋台のペラペラのやつだし、楊枝も現地のものと全く同じ入れ物。
お会計が済んだ後に、出口まで店員さんが見送ってくれたりと、ホスピタリティも抜群でした。
ここの系列には餃子店の有名店もあり、そこは予約がないと入れない超人気店。
出すお店、出すお店がきちんと流行る理由が、そこかしこに詰め込まれてました。
タイに行きたいな〜と、ちょっと思った時にこのお店に行きたくなるんですよね。
そこにはタイの文化に触れられる、そんなお店作りがあるからなのかもしれません。
超絶落ち込む前に、相談してくださいね!
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