2通りのプライシング 需給バランスの値決め、つっぱる値決め
いつもプライシングは悩ましいものですが、大きく分けて2通りのやり方があるんじゃないかなと思います。
「需給バランスで値段を動かす値決め」と安くても高くても「一定価格でつっぱる値決め」
値決めは経営だ!と言われる所以は、多分、この「つっぱる値決め」のことを言っていて、
この商品は1000円!と決めたら、その1000円で販売しつづけるということ。
バカ売れしようが全く売れなかろうが、1000円と決めたら1000円。
売り手が価格をコントロールする側に納まるという方法です。
(もちろん、需給バランスを見極めて値段を動かすのも、立派な経営です)
一見カッコ良さそうなんですが、結構これがツライ。
バカ売れしたら、その価格から出てくる利益でオペレーションを組まなければならないので、めちゃくちゃ忙しいのに人を入れられない可能性もはらんでいます。
反対に、そのままバカ売れして上場できるくらいの利益を出し、人を増やしてどんどん商品もよくなっていくなんてこともあります。
価格を決める際に、綿密なシミュレーションを行って、欲しい利益を決めてやることとやらないことを決める。買ってくれるであろう想定しているお客さんの属性も決める。そして、最後に腹も決める。
一般的に、憧れの経営者はこんな値決めのことが多いですよね。うん、かっこいい。
かっこいいけど怖い。「〇〇だったらどうしよう」という不安が尽きません。
一般的には下代が決まっている物販に多い方法の一つです。
もう一つの方法が、フレキシブルに価格を変化させる方法「需給バランスの値決め」です。
物販だと生鮮に多い値決めで、いわゆる時価みたいな方式。
一般的には、出回る商品の数が少ない時は高くて、旬になってたくさん出てくると安くしている場合が多いです。これは、そもそも仕入れ価格が変動しているので、この方法を採用する会社が多いのかなと思います。
この方法とは別に、お客さんの需要の数に合わせて価格を変化させる方法があります。
サービス業に多いかなと思うんだけど、開業まもない頃は安く。忙しくなってきたら、かカカウを徐々に上げて行って、利益率を高めていく方法。
意外と理にかなっている方法です。
最初は仕事もなく暇なので、安い価格で仕事を請け負います。自分が動ける時間や日数は決まっているので、まずはその状態で満員御礼まで持っていきます。
満員になったら、値上げを実行。価格が上がると離脱するお客さんがいるので、数人抜けたところで、また新規のお客さんを取ります。また満員になったら値上げを実行、離脱した分をまた新規のお客さんをとって補う。
これは、自分に対する需要に対して値決めをしていくような感じ。この方法はアリだなと思いますが、やっている人が意外と少ないです。駆け出しのデザイナーさんとか、個人経営のマッサージ店はこの方法を採用している人もいて、数年で軌道に乗ったと言っていました。
値上げに対する恐怖感があるとなかなかできない方法なので、常に新規のお客さんが巡ってくるような形にしていれば良いのかなと思います。「僕忙しいんで少し高めですよ」とちゃんと言えることも大事ですよね。
この方法を、物販、特にオリジナル商品に取り入れるのはアリだと思います。
商品サイクル。いわゆる商品の寿命が極端に短くなってきているのが現状です。新商品も大体、売れ続けるのは3年くらいなので、モデルチェンジがないのであれば、販売価格を徐々に下げていく。
もちろん、卸屋さんの方も、下代を徐々に下げていくのは理にかなっているなと思います。
商品のライフサイクルってこんな具合に需要が変化します。
成熟期が一番売れるわけですよね。その後衰退期に入った商品は売れなくなってくるので、どんどん値段が下がって当たり前。ここで価格をつっぱっても売れないので、徐々に下げていくわけです。
でも、モデルチェンジして、新しい商品ライフサイクルを描ければ、値下げしなくても良いですし、むしろ値上げをしていく流れをとることも可能。
世の中の商品でロングセラーなのは、お菓子だと「ばかうけ」とか「ポテトチップス」とか「ハッピーターン」とか。飲み物だと「コーラ」や「カルピス」なんてのもそうですよね。
定番と言われるような商品は、常に小さな改善を入れ続けていて、味も昔とはどんどん変化しています。それくらい常に改善を行なっているからこそ、ライフサイクルが伸びていくんだと思います。
ある意味、カルピスウォーターなんてすごいなと思うのが、薄めていて原材料にかかるコストが減っているのに、利幅は増えているわけです。より便利に手軽にした上での、実質的な値上げ。
あと、芸能人のギャラとか、講演講師のギャラなんかも、この需要と供給で値段がどんどん変わる世界ですね。「人気がある=需要がある」なので、需要があればどんどん高くしていくことが可能です。
モノのようにその人自体を量産することができないので、ヒトを商品とする場合にはこの方法はありだなと思います。
原価から売値を決める発想だと、「つっぱる値決め」も「需給バランスの値決め」もしづらいです。
あくまでも、「いくらなら買ってもらえるのか」が大切です。もちろん、価格は購入決定の大きな要因ですが、値段だけで買うわけではないので、一つの目安として考えるのが妥当ですよね。
「接客が良いから、少々高くてもこっちのお店で買いたい」とか、購入する理由は沢山ありますから。
「自分をいくらで売りたいのか」と「年収」って同じことじゃないかな?
共に悩みながら伴走します!
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