古屋悟司

人気の花屋「ゲキハナ」を運営。1973年生まれ
2004年順調だった営業マンを辞め、
たった1ヶ月の研修ののち、花屋を開業。
いきなり閑古鳥が鳴くようになり、
背水の陣でネット販売に着手。
売上はうなぎ上りになったが、
数年後、決算書を見るとずっと赤字だった事に愕然とする。
その後、会計を学んだことをきっかけに、
倒産の危機を乗り越え、V字回復に成功。
以降、黒字を継続中。
現在はゲキハナの運営に加えて、
「furuyasatoshi.com」のサイト運営や
管理会計ソフトの販売を通じて、
小さな会社を中

2通りのプライシング 需給バランスの値決め、つっぱる値決め

いつもプライシングは悩ましいものですが、大きく分けて2通りのやり方があるんじゃないかなと思います。

「需給バランスで値段を動かす値決め」と安くても高くても「一定価格でつっぱる値決め」


値決めは経営だ!と言われる所以は、多分、この「つっぱる値決め」のことを言っていて、

この商品は1000円!と決めたら、その1000円で販売しつづけるということ。

バカ売れしようが全く売れなかろうが、1000円と決めたら1000円。

売り手が価格をコントロールする側に納まるという方法です。

(もちろん、需給バランスを見極めて値段を動かすのも、立派な経営です)


一見カッコ良さそうなんですが、結構これがツライ。

バカ売れしたら、その価格から出てくる利益でオペレーションを組まなければならないので、めちゃくちゃ忙しいのに人を入れられない可能性もはらんでいます。

反対に、そのままバカ売れして上場できるくらいの利益を出し、人を増やしてどんどん商品もよくなっていくなんてこともあります。

価格を決める際に、綿密なシミュレーションを行って、欲しい利益を決めてやることとやらないことを決める。買ってくれるであろう想定しているお客さんの属性も決める。そして、最後に腹も決める。

一般的に、憧れの経営者はこんな値決めのことが多いですよね。うん、かっこいい。

かっこいいけど怖い。「〇〇だったらどうしよう」という不安が尽きません。

一般的には下代が決まっている物販に多い方法の一つです。



もう一つの方法が、フレキシブルに価格を変化させる方法「需給バランスの値決め」です。

物販だと生鮮に多い値決めで、いわゆる時価みたいな方式。

一般的には、出回る商品の数が少ない時は高くて、旬になってたくさん出てくると安くしている場合が多いです。これは、そもそも仕入れ価格が変動しているので、この方法を採用する会社が多いのかなと思います。


この方法とは別に、お客さんの需要の数に合わせて価格を変化させる方法があります。

サービス業に多いかなと思うんだけど、開業まもない頃は安く。忙しくなってきたら、かカカウを徐々に上げて行って、利益率を高めていく方法。

意外と理にかなっている方法です。

最初は仕事もなく暇なので、安い価格で仕事を請け負います。自分が動ける時間や日数は決まっているので、まずはその状態で満員御礼まで持っていきます。

満員になったら、値上げを実行。価格が上がると離脱するお客さんがいるので、数人抜けたところで、また新規のお客さんを取ります。また満員になったら値上げを実行、離脱した分をまた新規のお客さんをとって補う。


これは、自分に対する需要に対して値決めをしていくような感じ。この方法はアリだなと思いますが、やっている人が意外と少ないです。駆け出しのデザイナーさんとか、個人経営のマッサージ店はこの方法を採用している人もいて、数年で軌道に乗ったと言っていました。


値上げに対する恐怖感があるとなかなかできない方法なので、常に新規のお客さんが巡ってくるような形にしていれば良いのかなと思います。「僕忙しいんで少し高めですよ」とちゃんと言えることも大事ですよね。


この方法を、物販、特にオリジナル商品に取り入れるのはアリだと思います。

商品サイクル。いわゆる商品の寿命が極端に短くなってきているのが現状です。新商品も大体、売れ続けるのは3年くらいなので、モデルチェンジがないのであれば、販売価格を徐々に下げていく。

もちろん、卸屋さんの方も、下代を徐々に下げていくのは理にかなっているなと思います。


商品のライフサイクルってこんな具合に需要が変化します。

成熟期が一番売れるわけですよね。その後衰退期に入った商品は売れなくなってくるので、どんどん値段が下がって当たり前。ここで価格をつっぱっても売れないので、徐々に下げていくわけです。


でも、モデルチェンジして、新しい商品ライフサイクルを描ければ、値下げしなくても良いですし、むしろ値上げをしていく流れをとることも可能。


世の中の商品でロングセラーなのは、お菓子だと「ばかうけ」とか「ポテトチップス」とか「ハッピーターン」とか。飲み物だと「コーラ」や「カルピス」なんてのもそうですよね。

定番と言われるような商品は、常に小さな改善を入れ続けていて、味も昔とはどんどん変化しています。それくらい常に改善を行なっているからこそ、ライフサイクルが伸びていくんだと思います。

ある意味、カルピスウォーターなんてすごいなと思うのが、薄めていて原材料にかかるコストが減っているのに、利幅は増えているわけです。より便利に手軽にした上での、実質的な値上げ。


あと、芸能人のギャラとか、講演講師のギャラなんかも、この需要と供給で値段がどんどん変わる世界ですね。「人気がある=需要がある」なので、需要があればどんどん高くしていくことが可能です。

モノのようにその人自体を量産することができないので、ヒトを商品とする場合にはこの方法はありだなと思います。


原価から売値を決める発想だと、「つっぱる値決め」も「需給バランスの値決め」もしづらいです。

あくまでも、「いくらなら買ってもらえるのか」が大切です。もちろん、価格は購入決定の大きな要因ですが、値段だけで買うわけではないので、一つの目安として考えるのが妥当ですよね。

「接客が良いから、少々高くてもこっちのお店で買いたい」とか、購入する理由は沢山ありますから。



「自分をいくらで売りたいのか」と「年収」って同じことじゃないかな?

共に悩みながら伴走します!

古屋悟司のV字回復研究所

僕自身、倒産の危機を何度か経験し、その度に前向きに取り組み、いろいろな方のアドバイスにより、V字回復を果たしてきました。業績が落ち込む理由は様々ですが、外的要員で業績が落ち込んだ時は、当たりどころのない怒りや、この先どうなるかわからない不安がついて回ります。お金のことや、売上のことは、友達が多くても、相談しにくいのが実際のところです。相談しにくいからこそ、情報も乏しく、何をどうして良いのかがわかりません。僕自身がどうやってそれを切り抜けてきたのか。その経験がお役に立つのではないかと考えました。また、精神的にも不安で夜も眠れない、寝てもまた寝汗をかいて目が覚めてしまう。胸のあたりが常にモヤモヤしている。その気持ちに寄り添うことができればと思い、この事業を立ち上げました。 会社は、なかなか潰れません。諦めたところが終わるときです。資金繰りに行き詰まってしまっても、やり方は何通りもあります。僕が経験して、実際によかったと思う方法を、すぐに実践に移せます。また、これだけは絶対にやらないほうが良い。ということも同時にあります。常にポジティブにいきましょう!なんて無責任なことは言いません。もちろんポジティブであることは大切なことかもしれませんが、落ち込んだ気持ちを無理に引っ張り上げたところで、何の解決にもならないことは、誰の目から見ても明白です。 決算書を見て、何が問題なのか。ビジネスモデルを見て、何が問題なのか。今販売している市場を見て、本当に適切なのか。今の価格で利益は出るのか?諸経費は適切な状態なのか?チェックすべき項目はたくさんあります。短期的に結果が出る方法も、中期的に見て、取り組む課題も、会社ごとに異なります。決算書も見ずに、こうしたほうがいい、ああしたほうがいいなど、簡単には解決できないこともたくさんあります。絡まった糸をほぐすように、1つづつチェックして、回復するための施策を一緒に考えましょう。もちろん、一番大切なのは、社長自身の改善に向けての「決意」です。何がなんでも改善するんだという、強い意志があってこそ、V字回復は可能になります。単純に資金不足で悩んでいる場合には、早いケースでは1ヶ月で解決できる場合もあります。また、僕が経験した「ビジネスモデルの欠陥」による赤字体質の改善には、糸口がしっかり見えるまでは、半年から1年かかる場合もあります。もちろん、V字回

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古屋悟司の気づきと備忘録

管理会計とマーケティング。 商売している目線で見た気づきを共有します。

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