古屋悟司

人気の花屋「ゲキハナ」を運営。1973年生まれ
2004年順調だった営業マンを辞め、
たった1ヶ月の研修ののち、花屋を開業。
いきなり閑古鳥が鳴くようになり、
背水の陣でネット販売に着手。
売上はうなぎ上りになったが、
数年後、決算書を見るとずっと赤字だった事に愕然とする。
その後、会計を学んだことをきっかけに、
倒産の危機を乗り越え、V字回復に成功。
以降、黒字を継続中。
現在はゲキハナの運営に加えて、
「furuyasatoshi.com」のサイト運営や
管理会計ソフトの販売を通じて、
小さな会社を中

まあまあ美味しいだけなのに、また行こうと思ってしまう。マーケティング上手なラーメン屋さんのお話。

ここ数年で、徐々に店舗数を増やしている「丸源」さん。

このお店、行ってみてビックリ!味はまあまあですけど、色んな仕掛けがあって、流行っている理由と、儲かっちゃっているだろうなという点がめちゃくちゃ参考になりました! 


「プロが評価するうまいラーメン屋さん第一位!」とかテレビでやっていたので、興味があって行ってみたわけです。もちろん味を楽しみにして。 


 最近では珍しい大型店舗で、全国展開のラーメン屋さんがそんなに美味しいわけ?と。 お昼ごろ行くと、駐車場はほぼ満車。空きを見つけて車を止めて、店舗に向かうと数人が並んでいました。

めちゃくちゃ流行ってます!丸源さん!! ふつうのこだわりラーメン屋さんとか、回転が良いといえども、席数が少ないので結構待ちますが、5分もしないうちに席に案内されました。 


メニューを見てワクワクしながら注文。そこで、メニューがこれなんです。    

わかります?一番最初に目につくのがつけ麺、そしてその下の全部のせ。

さらに右に行くと、店名にもある肉そば。そして、どれが一番シンプルな肉そばなのかが、探さないとわからないわけです。


その手前で、880円とか980円という価格を見ているので、650円の普通の肉そばを注文するのもなんか寂しい気分になってきて、ネギ肉そばか、半熟玉子でも乗っけちゃおうかなという気がしてきます。

いわゆるアンカリング効果(最初に高い商品を見せることで、それ以下の価格が安く見える)を狙ってのメニュー作り。流石です!


そして、誘惑にも負けず、普通の肉そばを注文。

注文して5分も待たずに、あっという間にラーメンが出てきたのにはビックリしました!

出てきたのがこちら!

スープを一口飲むと、味濃いめの豚骨醤油。ちょい甘め。

ここでビックリしました。期待していたよりも美味しいかと言われればそれほどでもないのです。

ただ、後を引く味。甘いとしょっぱいが混じり合うと、旨味を感じてしまうのが日本人の舌なのですが、良ーくわかっていますよ丸源さん。さすがです!!

甘しょっぱいスープにネギが合う!!一口すすると美味しいけど、そこそこ。でも後を引く味です。


そして、具を見るとチャーシューではなく豚バラらしきお肉がわっしょいと乗っかってます。実はこれ、チャーシュー作るよりも原価が安いし、満足度も高いんじゃないかなと思うわけです。さらに言えば、コストカットしたチャーシューと比べたら、柔らかくて美味しいし、肉そばを名乗る以上、お肉多めに感じて、視覚的に得した気分になります。何度も良いますが、仕込みを考えても、原価がチャーシューより低いはずです。


テーブルの上には解説しているリーフレットのような物が

4回試してね!! と書いてあり、最初はそのまま。次にどろだれラー油、そして、揚げニンニク、最後に酢。いわゆる味変の提案です。実際に試してみると、面白いように味が変わって、なかなか楽しい!


あっという間に味変させながら完食したんですが、何か物足りない。

店員さんを呼んで、ライスを頼むことに。


僕「すみませーん!ライスってありますか?」

バイトさん「大中小とありますが、どれになさいますか〜?」

僕「小でおねがいします!」


ここのやり取りなんですが、色んなお店に行きますけど、ここまでメニューをちゃんと熟知しているバイトさんってメチャ少ないんですよ。

しかも、ニコニコ接客で、とても愛想もよく親切な印象を受けました。


この接客って、満席状態にも関わらず、ここまでちゃんとできるお店ってほとんどありません。ファミレスですら、メニュー開いて探したり、端末いじって探したりしているくらいなんで。「大中小とありますけどどれになさいますか〜?」のあの一言の大きさって凄いです。


さらに、途中、車いすの方が来店されていたんですが、カウンターではなくキチンとテーブル席にご案内し、しかも車いすを押してご案内してました。できるっ!!


そして、待たされることなく、すぐにライスが出てきて、まだ温かいスープと共に完食!満足!


気になったので、メニューをあれこれ見ていたんですが、お子様メニューや離乳食まである!

レジの会計時にソフトクリームが98円でその場でサクっと出てくる!!


帰りはドアマン的なバイトくんがいて、「ありがとうございましたー!」とお見送りしてくれる。

滞在時間15分〜20分。回転率メチャよいわけです!!


そこで、このお店のちょっと凄い所(上記で書いていないところ)をまとめますね。


・次回行ったときは、どのラーメン食べようかな?ネギもっと乗っけちゃおうかな?辛いのにしようかな?塩いってみようかな?チャーハンもあったからそれもつけてみようかな?と、入り口商品から次のステップに進める道筋がいくつか用意されていること。

・家族連れの来店が非常に多かった。お子様メニューが充実していると、子供連れが入りやすい。

・子供連れは必然的に3人の来店が約束されるので、テーブル単価が上がる。

・ファミレスは待たされるが、丸源さんは待たされない。だから昼時でもまた行こうと思う。

・故に、昼時の1時間で3回転とかさせれるので、収益性が高い。

・原価の安いラーメンという商材で、回転率が高かったら無敵すぎ!

・知らず知らずに、平均単価がファミレス並みになる(アイスとかトッピングとかで)クロスセルやアップセルが行われやすいメニュー設定になっている。

・接客がとても良いし、目を見て笑って会話してくれるから気持ちがよい。血が通っていると感じるので好印象。だから、また行こうと思う。親切なら子供も連れて行きやすい。

・ドアマン的なバイトくんがいるおかげで、横入りも起きず、ご案内も行き届き、最終的にサービスが高まる。

・味はそこそこだけど、そこまで究極にこだわったラーメンを日曜日の昼間に食べたい家族連れはいないので、そもそものターゲティングやセグメントに対しての味としては美味しいわけです。


結果的に、また足を運んでしまう。繁盛店が仕上がるというわけです。

複数のマーケティング手法を繰り出しながら「熟成醤油」と「肉そば」という商品力、「親切な血の通った接客」というブランディングでグイグイきてるんだなーー。と。


どんなコンサルタントさんが入っているんだろうかと、ホント考えてしまいました。

ちなみに僕は、こういうことを考えるのが好きなので、考えながら食べてるラーメンは最高にうまかったです(笑)


丸源さんの回し者ではないですが、一度行ってみると良いと思います。超絶勉強になります!


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